マンションには、共用部である廊下が存在します。
廊下には、外廊下と内廊下という2つのタイプがあります。
物件を選ぶ際には、室内や周辺環境に注目しがちですが、廊下も生活の快適さに直結する重要な要素ですので、注意深くチェックする必要があります。
この記事では、マンションの外廊下と内廊下の違いや特徴、そして安全性の重要性について詳しく説明します。
思いがけないトラブルや後悔を避けるためにも、廊下にも注意を払って物件選びを進めましょう。
マンションの外廊下と内廊下の違い
まず、マンションの外廊下と内廊下は異なるものです。
マンションの外廊下
マンションの外廊下とは、一般的には建物の外部に面した廊下のことを指します。
このような形式のマンションは、一部では「開放廊下」とも呼ばれることがあります。
特に、都市部にある比較的古い建物では、外廊下のマンションが多く見受けられます。
外廊下を採用しているマンションは、通常、住戸が同じ方向に配置されています。
そのため、内廊下を持つマンションと比べると、住戸の数が少ない傾向があります。
つまり、廊下が公共スペースとなり、各住戸への専用の出入り口がないため、より多くの住戸が一つの廊下を共有することになります。
マンションの内廊下
マンションの内廊下とは、マンション建物内に配置されており、外部の空気にさらされていない特定の種類の廊下を指します。
このような廊下は、ホテルの客室と繋がる廊下と同じようなイメージです。
一般的には、高級なマンションや高層建築に多く見られ、外廊下にはない贅沢な雰囲気が特徴的です。
また、内廊下では通常、廊下の両側に住戸が配置されており、外廊下の物件に比べて住戸の数が多い場合があります。
外廊下と内廊下の両方を併せ持つマンションもある
マンションの中には、外廊下と内廊下を組み合わせたタイプも存在します。
これは、建物の中央に大きな吹き抜けがあり、その周りに廊下が配置されているマンションのことを指します。
外廊下とは、建物の外側に面していて、通りから直接アクセスすることができる廊下を指します。
一方、内廊下は建物の内側に設置されていて、建物内の各住戸につながっています。
この特殊な構造のマンションでは、吹き抜け部分は外気にさらされるため、風や天候の影響を受ける可能性があります。
一方で、他の廊下部分は建物の内側に配置されているため、屋内の状況に左右されずに利用することができます。
このように、外廊下と内廊下の利点を併せ持った物件と言えるでしょう。
このような構造は、やや古めのタワーマンションなどでよく見られます。
しかし、最近のマンションでは、よりシンプルな構造やより居住者の利便性を考慮した設計が進んでおり、このような外廊下と内廊下の組み合わせは少なくなってきています。
マンションの外廊下のメリット・デメリット
外廊下と内廊下は、建物の配置や構造に応じて異なる利点と欠点があります。
マンションの外廊下のメリット
外廊下のメリットです。
部屋が明るく感じられる
外廊下の場合、廊下の壁側の部屋は太陽光が直接入ります。
角部屋でなくても、2つの壁から光を取り込むことができます。
ただし、角部屋の場合は3つの壁から光を取り込めるため、もっと明るい空間になるでしょう。
外廊下を利用すると、昼間は廊下の明かりをつける必要がありません。
家の中にいるときや家を出るときにも、太陽の光を満喫できます。
明るい光に包まれながら過ごすことで、リラックスできるでしょう。
総じて言えば、外廊下を活用することで明るく気持ちの良い空間を実現できます。
真っ白な光が広がる家の中で過ごしたいなら、外廊下はぴったりの選択肢です。
防災面で安心感が強い
さらに、外廊下の利点は火災の際に安心感をもたらします。
外廊下は外部の空気に面しているため、火災が発生しても大量の煙が発生しても一酸化炭素中毒になるリスクや、視界が悪くなって逃げ遅れる可能性を軽減することができます。
さらに、外廊下からは外部の明かりが入ってくるため、停電が発生しても真っ暗になることを防ぐことができます。
災害時に避難することを考えると、外廊下は非常に安心感をもたらすと言えるでしょう。
コストが抑えられる
外廊下は建物の外部に位置しているため、壁の設置が不要です。
そのため、建築コストを抑えることができます。
さらに、外部に面しているため、太陽光が室内に差し込みます。
その結果、昼間は明かりをつける必要がなく、電気代を節約することができます。
このような利点があり、物件価格だけでなく、維持管理費も低く抑えられます。
さらに、外廊下の壁や設備のメンテナンス費用もそれほど高くありません。
そのため、修繕積立金も低い額で済みます。
修繕積立金が不足するというリスクを低減できるため、コストを抑えたい場合におすすめです。
マンションの外廊下のデメリット
次にマンションの外廊下のデメリットを解説します。
プライバシー性が低い
外廊下を採用しているマンションでは、通常、廊下側の部屋にも窓を設置しています。
外廊下では、住人だけでなくさまざまな人が行き交うため、通行人の目線や存在感、会話の声など、プライバシーへの懸念が生じることがあります。
気になる場合には、誰かに見られることが気になる場合には、特におすすめの対策があります。
それは、角部屋や廊下側の壁を少し後退させることで外部からの視線を遮る「アルコーブ」がある物件を選ぶことです。
このような設計では、廊下側の部屋はよりプライベートな空間となり、通行人の目線を気にすることなく生活することができます。
天候の影響を受ける
外廊下にはいくつかのデメリットがあります。
まず一つ目は、天候の影響を受けやすいことです。
雨や風が直接廊下に吹き込むため、廊下自体が濡れたり、汚れやすくなる可能性があります。
特に高層マンションでは風が強くなるため、外廊下を採用することはほとんどありません。
また、外廊下は室外の気温をそのまま反映するため、室内に暑さや寒さが伝わりやすいというデメリットもあります。
冬の寒い日には、玄関からゴミ捨て場や郵便受けまで行くのが億劫に感じられることもあるでしょう。
外廊下があると、室内の温度を保つための工夫が必要になります。
これらの理由から、外廊下はあまり利用されない設計となっています。
屋内の廊下に比べてメンテナンスが必要なうえ、室内の快適性にも影響を与える可能性があるため、住宅やマンションの設計ではあまり採用されていないのです。
防犯面で不安が残る
外廊下があると、防犯上のリスクが増える点があります。
外からの視線に晒されるため、誰が住んでいるのか、現在誰が室内にいるのかといった情報が容易に把握されてしまいます。
また、外部から簡単に侵入することができるため、空き巣などの犯罪に巻き込まれる可能性が高まります。
オートロックが付いている物件であっても、低層階であれば廊下への侵入が可能です。
特に女性の一人暮らしや小さな子供がいる家庭は、特に警戒が必要です。
マンションの内廊下のメリット・デメリット
次に、マンションの内廊下の良い点と悪い点について詳しく解説いたします。
是非、外廊下と比較しながらご覧ください。
マンションの内廊下のメリット
内廊下のメリットです。
プライバシーを保護できる
内廊下は、校舎やビルなどの建物の中にある通路のことを指します。
外側からは内部を見ることができないので、プライバシーが保護される効果が非常に高いです。
内廊下は、その階に住んでいる人や利用している人だけが通ることができるため、防犯上も非常に安心です。
また、内廊下の物件は一般的にオートロックが備えられていることが多いです。
オートロックとは、カギを使わずに入館できるセキュリティシステムのことで、キーパッドやカードキーを使って入館することができます。
このため、女性や子供がいる家庭でも安心して生活することができます。
さらに、内廊下は外部からの侵入の難易度が高くなる傾向があります。
外廊下と比べて、内廊下のほうが建物の中にあるため、外からの侵入は困難です。
これにより、家の安全性が高まります。
内廊下は、プライバシーの保護効果や防犯性に優れているため、多くの人にとって魅力的な選択肢となっています。
天候の影響を受けにくい
内廊下は、室内に完全に設置されているため、天候の影響をほとんど受けないという利点があります。
この設計により、雨や風が入り込むことはありません。
また、ほとんどの場合、内廊下には空調設備が備えられているため、玄関を開けても快適な温度が保たれています。
これは大きな利点です。
例えば、ゴミを捨てたり郵便受けに行ったりする際にも、外の寒さにさらされる必要がありません。
そのため、マンション内で過ごす時間が長い人にとっては最適な環境です。
傷みにくく高級感がある
内部廊下の利点は、主に耐久性と高級感にあります。
多くの内部廊下では絨毯が敷かれており、滞在しているかのような高級感を味わうことができます。
また、外部からの雨風が入り込むことはありませんので、設備は傷みにくく、雨や砂などによる汚れや見た目の損傷もありません。
そのため内部廊下は長期間にわたって美しい状態を保つことができます。
これは将来的に売却する際にも、買い手に好印象を与えることにつながります。
マンションの内廊下のデメリット
次にマンションの内廊下のデメリットを解説します。
採光や風通しがよくない
内廊下とは、建物の内部に作られた通路のことです。
この通路には窓がない場合、外部からの太陽光は一切入りません。
また、風も通り抜けることはありませんので、十分な採光や風通しを確保することはできません。
このような状況は閉鎖的に感じる人にとっては苦痛かもしれません。
通常、内廊下では明かりや空調管理によって快適に過ごすことができますが、設備の故障や停電が発生した場合には注意が必要です。
非常用電源装置が設置されている場合もありますが、長期間の停電が続いた場合、暗く避難することが難しくなる可能性がありますので、そうした状況に備えておく必要があります。
制約が多い
マンションの管理規約によって異なりますが、内廊下の物件は一般的に外廊下の物件と比べて制約が多い傾向があります。
具体的な例を挙げると、「玄関を開けて換気することができない」とか、「玄関先にベビーカーや三輪車を置くことができない」といった規約が多く存在します。
内廊下の物件は、外廊下と比べて室内の生活音が響きやすいという特徴やスペースが狭いという点があります。
そのため、すべての住人が快適に過ごせるように、上記のような制約が設けられているのです。
もちろん、マンションごとにルールは異なりますので、入居する際には廊下の使用に関するルールを必ず確認してください。
ですので、入居予定の物件が内廊下の物件である場合、玄関の換気やベビーカーや三輪車の置き方に制約があるかどうか、注意が必要です。
マンションの管理規約は、すべての住人が快適に過ごせるように設けられたものですので、皆さんがルールを守ることで円滑な共同生活が送れることを願っています。
コストがかかる
内廊下は、建設時には多くの建材が必要とされるため、費用がかさんでしまいます。
また、照明や空調のためにも電気代がかかることもあります。
そのため、内廊下の物件は外廊下の物件に比べて高額になることがあるのです。
さらに、管理費や修繕積立金も多く必要となるため、経済的なデメリットも考慮しなければなりません。
特に大規模な修繕が必要な場合、多額の費用がかかることがあります。
そのため、修繕積立金が不足している場合、一時金の支払いを求められる可能性もあります。
このようなリスクを事前に理解しておくことが重要です。
また、管理費が高額な場合、管理が維持できなくなる可能性もあります。
その結果、20年後や30年後に温度管理が行われなくなる可能性もあります。
内廊下の温度管理が行われなくなると、蒸し暑さや寒さが気になるようになるため、不便な状況になるかもしれません。
以上のような理由から、内廊下の物件を選ぶ際は、経済的な負担や利便性の面を十分に考慮する必要があります。
まとめ
マンションには、外廊下と内廊下の2種類の廊下があります。
外廊下は、各部屋が廊下に面しており、外に開かれているタイプです。
一方、内廊下は、廊下が室内に取り込まれており、各部屋へのアクセスは室内から行います。
外廊下と内廊下では、それぞれ異なった特徴があります。
外廊下は、部屋の出入りが直接外につながっているため、風通しが良く、採光が豊かです。
また、建物の外側に面しているため、眺望が開けていることが多いです。
一方、内廊下は、建物内に取り込まれているため、外からの物音や水の浸入の心配が少なく、プライバシーが守られています。
マンションを選ぶ際には、廊下のタイプも重要な点の一つとなります。
なぜなら、リフォームで室内を自分好みに変えることができる一方で、共用部分である廊下は自分の意思で変更することができないからです。
廊下のタイプは、そのマンションの安全面や防犯面にも影響を与えます。
例えば、外廊下は外部との接触がありますので、防犯対策がより重要になります。
一方、内廊下は室内に取り込まれているため、より安全性が高まります。
購入後のトラブルや後悔を避けるためにも、廊下のタイプにもこだわりながら物件選びを進めましょう。
自分のライフスタイルや優先するポイントに合わせて、外廊下か内廊下かを選択することが大切です。
廊下は、日常的に使用される部分であり、暮らしの中でストレスを感じる要素の一つとなりえます。
そのため、快適で安心できる廊下環境を選ぶことは、より心地よい生活を送るために欠かせません。
廊下のタイプを慎重に選び、満足のいくマンションを見つけましょう。