自宅の相続時何から始めるべき?方法と注意点は?費用はいくら?

不動産

家を相続する場合には、いくつかの手続きを行わなければなりません。

手続きのためには、さまざまな書類や費用が必要です。

また、相続には注意が必要な点もありますので、相続が発生する前に相続に関する基礎知識を身につける必要があります。

この記事では、家を相続する際の手続きや流れ、相続に関わる税金とその計算方法、相続を避けたい場合の対処法、そして相続における注意点について詳しく解説します。

記事を最後まで読めば、相続に関する基礎知識を身につけ、実際に相続が発生した際にスムーズに手続きを行うことができるでしょう。

自宅を相続するときの流れや手続き

家を相続する場合には、さまざまな手続きが必要であり、相続に必要な書類も多く存在します。

不動産関連の必要な書類を集める

家を相続する場合、まずは家に関連する書類を集める必要があります。

家に関連する書類として以下のものがあります。

1. 固定資産税納税通知書 – 毎年自治体から郵送されてきます。

●もし紛失してしまった場合でも、固定資産税評価証明書で代用することができます。

●固定資産税評価証明書は、固定資産税を納税している自治体で取得することができます。

2. 登記済権利証書 – 不動産を購入したり相続した際に、法務局から発行される書類です。

●再発行ができないため、もし紛失してしまった場合は司法書士に依頼して代用する書類を作成する必要があります。

●ただし、この代用書類を作成する際には費用がかかります。

3. 登記簿謄本 – 法務局で取得することができます。

●取得には費用が必要です。

これらの書類は、相続手続きをする際に必要なものとなりますので、大切に保管しておくことが重要です。

紛失してしまった場合には、再発行や代用書類の作成に時間と費用がかかることを覚えておいてください。

相続手続きに必要書類を集める

不動産に関連する書類を収集した後は、次に相続手続きに必要な書類を集めます。

相続手続きに必要な書類は、相続方法によって必要な書類が異なります。

相続方法には、以下のような方法があります。

1. 遺言書による相続

遺言書に基づいて相続する場合、遺言書のコピーが必要です。

また、遺言書を作成した時点での戸籍謄本なども求められることがあります。

2. 遺産分割協議による相続

遺産分割協議に基づいて相続する場合、遺産分割協議書や協議者全員の同意書、戸籍謄本などが必要です。

3. 法定相続

法律に基づいて相続する場合、相続人全員の戸籍謄本や印鑑証明書、相続人の関係を示す証明書(例:親子関係証明書や配偶者関係証明書)などが必要です。

したがって、相続方法によって求められる書類が変わるため、相続手続きを進める前に、どの相続方法を選択するかを確認し、それに必要な書類を収集しておく必要があります。

相続人全員で遺産分割協議をする

相続人全員で遺産分割協議を行うためには、まずは必要な書類を集める必要があります。

遺産分割協議とは、亡くなった方の財産を相続人全員でどのように分けるかについて話し合うことです。

遺産分割協議がまとまったら、遺産分割協議書を作成し、全ての相続人がそれに実印を押印し、さらに印鑑証明書を添付します。

なお、もし亡くなった方が遺言を残していた場合は、その遺言に従って遺産を分けるため、遺産分割協議をする必要はありません。

申請に必要な書類の作成

書類を集めて、相続登記のための登記申請書を作成します。

遺産分割協議などで司法書士に依頼していれば、登記申請書まで司法書士が代わりに作成してくれます。

登記申請書を法務局に提出し、相続登記が完了したら、相続手続きは全て終了です。

自宅の相続にかかる費用

家を相続する際には、さまざまな費用がかかることがあります。

具体的な家の相続に関連する費用としては、以下の点が考えられます。

まずは、相続登記に伴う費用が挙げられます。

相続登記を行うためには、登記手続きに必要な費用がかかります。

この費用には、登記の申請手数料や印紙代などが含まれます。

また、相続に関連する書類を取得するためにも費用が必要となります。

相続に際しては、相続者や相続財産に関する書類が必要となることがあります。

これらの書類には、戸籍謄本や不動産の登記簿謄本などが含まれますが、これらを取得するには手数料や郵送費用などの費用が必要です。

このように、家を相続する際にはさまざまな費用が発生することがあります。

それぞれの費用は、必要な時期によって異なりますので、事前にしっかりと確認しておくことが大切です。

相続登記に必要な費用

相続登記に必要な費用は、一般的には司法書士への報酬が含まれます。

相続登記は、普通の人が自分で行うのは難しく、ほとんどの場合、司法書士などの法律の専門家に代理で依頼します。

代理で手続きをしてもらう場合には、そのために費用が発生します。

相続登記の司法書士の報酬は、依頼する内容によって異なりますが、一般的には5万円から8万円ほど支払うことになります。

また、この報酬には消費税が加算されます。

家を相続したくない場合は相続放棄や処分

一部の人々は、使用されていない家や危機的な状態にある空き家などを相続したくないと考えることがあります。

家を相続したくない場合には、以下のような方法があります。

一つは相続放棄という手続きです。

相続放棄は、相続人が相続財産を受け取らないことを宣言することです。

もう一つは処分です。

処分とは、相続財産を売却することや他の方法で処分することを意味します。

本章では、家を相続したくない場合にどのような手続きが必要であるかについて詳しく説明します。

相続放棄をする

もし家を相続したくない場合には、相続放棄を考えることがおすすめです。

相続放棄とは、被相続人の財産を一切相続しないことです。

相続放棄にはいくつかの注意点がありますので、利用する際には注意点を理解した上で相続放棄を行うようにしましょう。

まず、相続放棄をする場合は相続開始から3ヶ月以内にしか行うことができません。

ですので、時間に余裕を持って手続きを進める必要があります。

また、相続放棄ではマイナスの財産(つまり借金など)だけを放棄することはできず、プラスの財産も一緒に放棄しなければなりません。

つまり、相続放棄をすると全ての財産を手放すことになりますので、注意が必要です。

さらに、相続放棄は相続開始前に行うことはできません。

すでに相続が始まってしまっている場合は、相続放棄はできなくなってしまいますので、早めに手続きを進める必要があります。

相続放棄をする際には、家庭裁判所に申請する必要があります。

申請の手続きや必要な書類については、家庭裁判所のホームページなどで確認しておくと良いでしょう。

以上が相続放棄についての注意点です。

特に注意しなければならないのは、マイナスの財産だけを放棄することができないという点です。

相続放棄はすべての財産を手放すことになるため、プラスの財産も放棄しなければなりません。

相続予定物件を売却する

もし、相続前に使っていない不動産がある場合、それを売却することも1つの選択肢です。

不動産は相続後に維持費や税金がかかることを考慮する必要があります。

不動産は資産としての価値がありますが、その維持には費用がかかることを忘れてはなりません。

また、放置されたままの空き家は、自治体から「特定空き家」として指定される可能性もあります。

特定空き家指定になると、固定資産税の減税特例が取り消されたり、罰金が課されたり、行政による強制的な家屋解体が行われる可能性もあります。

当然、行政による解体費用は空き家の所有者に請求されるため、全額を支払う必要があります。

家を相続するときの注意点

家を相続する際には、いくつかの注意点があります。

まず、相続登記手続きをできるだけ早めに行うことが重要です。

相続登記は、相続手続きの完了を示すものであり、家の所有権を明確にするために必要です。

また、共同名義での相続は可能な限り避けるべきです。

共同名義での相続では、他の相続人との関係や争いが生じる可能性が高くなります。

そのため、相続する際には、個別名義が望ましいです。

さらに、不動産は相続時にトラブルが発生しやすい財産です。

相続人間での意見の相違や遺産分割の問題などが生じる可能性があります。

したがって、家を相続する際には、相続人全員が納得できる遺産分割協議を行うことが重要です。

以上が、家を相続する際の注意点についての解説でした。

家族や関係者との円滑なコミュニケーションや法的な手続きを適切に行いながら、相続を進めることが大切です。

相続登記は早めに終わらせておく

相続登記には期限がないため、一部の人々は相続登記を行わずに放置してしまうことがあります。

しかし、相続登記を行わないことにはさまざまなデメリットがあるため、できるだけ早く相続登記を終わらせることが重要です。

具体的な相続登記のデメリットとしては、次のような点が挙げられます。

まず、相続登記を行わないと、他の相続が発生し、登記手続きに協力してくれない人が現れる可能性があります。

このような場合、相続財産の分け方に関して問題が生じたり、紛争が起こることがあります。

また、相続登記をしていないと、不動産の売却ができません。

相続した不動産を処分したい場合、相続登記を完了させることが必要です。

相続登記を怠ったままでいると、不動産を売却することができず、その価値を活かせない可能性があります。

さらに、共有名義の人が認知症などの健康問題になってしまうと、相続登記の手続きが困難になる可能性があります。

名義人が能力を失ってしまうと、登記簿の修正や手続きの進行が難しくなります。

そのため、相続登記を早めに行っておくことで、このような問題の発生を防ぐことができます。

さらに、2024年には相続登記が義務化される予定です。

現在は義務化されていないため、罰則はありません。

しかし、義務化後に相続登記を怠ると罰則を受けることになります。

特に注意が必要なのは、義務化される前に相続が発生し、相続登記が未了の場合です。

義務化前の相続登記未了も罰則の対象となるため、適切な手続きを怠ることはできません。

相続登記が義務化されれば、相続登記を怠った場合には10万円以下の過料が科されることになります。

また、相続登記が義務化されてから3年以内に既に相続が発生していて、相続登記が未了の場合には、相続登記を3年以内に行う必要があります。

いずれにせよ、相続登記を早めに行うことは、トラブルを予防するために非常に重要です。

相続財産に関するスムーズな処理をするためにも、できるだけ早い時期に相続登記を済ませるようにしましょう。

共有名義での相続は行わない

不動産の共有名義人が増えると、不動産の扱いがより複雑になることがあります。

それは、単独で不動産を活用する方法を決定することが困難になるためです。

共有名義の不動産の場合、次のような制限があります。

不動産を処分や変更する場合は、全員の同意が必要です。

管理行為を行う場合は、過半数の同意が必要です。

処分や変更行為とは、例えば不動産を売却したり、不動産を担保にして融資を受けることです。

このような処分や変更行為は、共有名義人全員の許可が必要なため、共有名義人が増えるとより扱いが難しくなります。

不動産を所有しているだけで維持費がかかるため、共有名義人が多い不動産を相続してしまうと、支出だけが増える可能性があります。

また、管理行為を行うためにも、共有名義人の過半数の同意が必要です。

管理行為とは、短期的な賃貸契約やリフォームなどを含みます。

建物の維持については、単独で行うことが可能ですが、リフォーム(改良工事)を行うためには、共有名義人の過半数の同意が必要です。

このため、共有不動産を相続すると、不動産を維持すること自体が難しくなる場合もあります。

したがって、共有不動産の相続にはかなりのデメリットがあると考えられます。

不動産は相続時にトラブルに発展しやすい

不動産は相続時に問題が生じやすく、事前に現金化しておくことが良いかもしれません。

例えば、相続財産が不動産1億円と現金2000万円で、相続人が2人の子供であると仮定します。

この場合、不動産の共有名義にすることなど相続方法が制限されてしまいます。

しかし、共有名義にすると、処分する際には共有者全員の同意が必要となるなど、条件がついてしまいます。

共有名義にしてしまうと、処分することができなくなる可能性もあるということです。

まとめ

家を相続する際には、多くの手続きが必要となります。

具体的には、様々な書類を取得しなければいけませんし、さまざまな費用もかかってきます。

さらに、相続する際には相続税や登録免許税などの税金も課税されてしまうことがあります。

これらの理由から、事前に相続に関する知識を得ておくことは非常に重要です。

相続の基礎知識を身につけておけば、実際に相続が発生した場合でもトラブルを回避しながら進めていくことができます。

しかし、相続には不動産や税金、法律など、幅広い知識が必要となるため、相続について理解が進まないという場合は、法律家である弁護士に相談することもおすすめです。