ホーム インスペクションは中古住宅に必須?誰が費用負担してどう進める?

不動産

住宅を購入する際には、水回りや外壁などの損傷が今後の暮らしやすさに影響することがあります。

そのため、適切な価格で住宅を購入するためには、ホームインスペクション(住宅調査)を実施することがおすすめです。

今回は、ホームインスペクションに要する費用や調査内容について詳しくご説明します。

ホームインスペクションの目的

ホームインスペクションは、既存の住宅を購入する前に、その住宅に問題がないかどうかを診断するための調査です。

一般の人にはわかりにくい住宅の問題や隠れた劣化状態を専門家が見極めてくれます。

住宅を購入した後で問題が発生すると、修繕に多くの費用や時間がかかるだけでなく、購入に後悔することもあります。

しかし、ホームインスペクションを依頼することで、そのようなトラブルを未然に防ぐことができます。

ホームインスペクションによって、住宅の劣化状態や品質の程度などが明確になります。

結果をもとに、消費者は購入を決断するかどうかを判断することができます。

また、ホームインスペクションはリフォームの参考にも活用されます。

どの部分をリフォームすればよいかを把握することで、無駄なリフォームを避けることができますし、適切なリフォームを行うことで住宅の寿命を延ばすこともできます。

また、住宅の保証期間が近づいているためにホームインスペクションを行ったり、建て替えるかリフォームするかを判断するために活用することもあります。

さらに、家を売る前にホームインスペクションを行うことも多いです。

調査内容とその範囲

ホームインスペクションでは、どのような調査が行われるのでしょうか?

また、どのくらいの範囲を調査してもらえるのでしょうか?

調査範囲

ホームインスペクションの調査範囲は、家屋の全体に及びます。

室内はもちろんのこと、屋根裏、外壁、屋根、そして基礎まで、全ての部分が診断の対象となります。

設備面に関しても調査が行われます。

水道や排水などの水回り、配管に水漏れがないかどうかも調べられます。

電気の配線に関しても調査が行われますが、水道や電気が使用できない状態では、その調査はできません。

ただし、ガスに関しては通常、調査の対象に含まれないことが多いです。

また、屋根に関しては、一般的に窓やベランダ、そして屋外から目視できる範囲に限定された調査となります。

屋根に上がってまでの調査は通常行われないことが一般的ですので、その点には留意してください。

調査内容

ホームインスペクションでは、住宅のほとんどの箇所を細部まで入念に調べていきます。

どのように調べていくのか、箇所別に見ていきましょう。

・基礎

基礎の状態を確認するために、目視や手で触れる、打診棒で叩いて音を聞くなどの方法を用います。

確認項目はヒビ割れ、欠け、仕上げの浮き、傾きなど様々です。

また、コケやカビの発生状況なども確認します。

基礎は建物の安定性に関わる非常に重要な要素ですので、しっかりと調査されます。

以上が、ホームインスペクションの調査内容と範囲についての詳細です。

ホームインスペクションは一部の領域に特化した診断ではなく、建物全体の状態を把握するために行われるものです。

家を購入する際には、地震に対する強度だけでなく、全体的な問題点や不具合がないかも確認することが非常に重要です。

建物の主要部位の点検方法と項目は、以下のようになります。

・外壁

外壁の点検では、目視や触診、打診棒を使用して、ヒビ割れや欠け、傾き、コケやカビの状態を確認します。

また、ヒビの長さや深さを測定し、塗装の剥がれなども詳しく調べます。

・屋根

屋根の点検では、目視による破損の有無や瓦の浮きやズレ、コケやシミの有無、雨樋の状態などを調べます。

ベランダからの目視確認や双眼鏡を使用して遠くから確認するなど、2つのパターンで点検を行います。

・室内

室内の点検では、天井や床のシミ、ヒビ、カビ、傾き、破損などを目視で確認します。

必要に応じて機材を使って詳しく確認することもあります。

床に関しては、実際に歩行してたわむ部分がないかも確認します。

また、ドアや引き戸の開閉具合や窓や雨戸の状態も同時にチェックします。

・水回り

キッチンやお風呂、トイレなどの水回りの点検では、排水の状態や水漏れの有無、配管の状態、コケやカビの有無などを調査します。

必要に応じて配管の状態やカビやコケの状態も調べられます。

・床下

床下の点検は、追加料金が必要な場合が多く、通常は床下が目視できる穴から覗き込んで見える範囲の確認に留められます。

床下では基礎や床組みの状態を確認し、シロアリの有無やカビやコケ、水漏れの有無から木材や金具の腐食状況まで詳しく調査します。

また、水分計や水平器を使用して、床下の木材の水分含有量や傾きを調べることもあります。

・天井裏

天井裏の点検も、追加料金が必要なケースが多く、通常は天井裏に通じる穴から覗いて目視するだけに留まります。

天井裏の点検では、破損の有無やコケやシミの有無などをチェックします。

ホームインスペクションの費用

ホームインスペクションを受ける際に気になるのは費用ですよね。

ここでは、ホームインスペクションに関する費用について詳しくお話しします。

なお、費用は業者によって異なる場合があり、地域によっても違いがあるので、この記事では費用の相場や目安として考えてください。

1)ホームインスペクションの費用相場

ホームインスペクションの費用相場は、一般的には5万円から7万円程度です。

ただし、詳細な診断や多くの機材を使用した場合は、10万円以上かかることもあります。

また、床下や天井裏の調査を希望する場合は、追加費用として1万5,000円から3万5,000円程度かかることがあります。

2)ホームインスペクション費用の内訳

ホームインスペクションにかかる費用の内訳は以下の通りです。

・ホームインスペクター(住宅診断士や住宅検査員)の費用

実際にホームインスペクションを行ってくれる住宅診断士や住宅検査員の人件費です。

彼らの専門知識と経験に基づいた調査を行うため、その費用が含まれます。

・交通費

調査現場までホームインスペクターが移動するための交通費です。

現地の状況によっては、駐車場代などの追加費用も発生することがあります。

・調査機器の損耗費用

ホームインスペクションに使用する機器は、使用するたびに寿命が短くなってしまいます。

そのため、機器の寿命を考慮した費用が必要です。

以上が、ホームインスペクションの費用についての詳細な解説でした。

ホームインスペクションを依頼する際には、業者の費用や内訳を事前に確認し、予算に合わせたプランを選ぶようにしましょう。

安心して住まいの状態を把握できることを願っています。

オプション料金に注意

ホームインスペクションを依頼する際に、高額な機器を使用した調査を追加すると、追加料金が発生します。

ただし、目視による調査の場合は、追加料金はほとんどかかりません。

また、報告書などの作成には事務コストもかかります。

報告書には、紙代やインク代、郵送費などの原価に加えて、ホームインスペクターが専門的な所見を書くために要する人件費などが含まれています。

詳細な報告書を希望する場合は、別途5,000円から1万5,000円ほどの費用がかかることがあります。

また、ホームインスペクション業者には事務スタッフがいる場合もあり、その場合は事務員のコストも支払う必要があります。

ただし、小さな事務所の場合は、この部分の費用が削減されることがあります。

さらに、業者の広告やホームページの作成・運営にかかる費用も、ホームインスペクションの代金に上乗せされます。

価格と能力で比較する

ホームインスペクション業者を選ぶ際には、多くの人がネットの口コミや価格を参考にして最終的な選択をすることでしょう。

ホームインスペクション業者を選ぶ際のポイントは、価格とホームインスペクターの能力です。

まず価格についてですが、格安の業者は不動産業者との提携が多く、そのような業者は売却を促進するために業者寄りの診断結果を出す可能性があります。

そのため、あまりにも安い業者を利用する場合は、不安が残る可能性があります。

もし不動産業者から格安のホームインスペクション業者を紹介された場合は、少し注意が必要かもしれません。

ホームインスペクションは第三者の客観的な視点が必要なので、相場から大きくかけ離れた安い業者よりも、中立公正な立場の業者を選ぶべきです。

次に、ホームインスペクターの能力ですが、当然ながら高い能力を持つホームインスペクターの方が、信頼性の高い診断結果を期待することができます。

ホームインスペクションの手続き

ホームインスペクションを依頼したいと思ったら、まずは手続きをする必要があります。

以下では、必要な書類や手続きの流れについて詳しく説明します。

(1)必要書類 ホームインスペクションを正確に行ってもらうためには、住宅に関する資料が重要です。

しかし、少ない資料でもホームインスペクションを受けることは可能ですので、ご安心ください。

以下は、理想的な書類の一部を紹介しますので、参考にしてください。

・付近の地図(グーグルマップでも可)

・建物配置図

・各階の平面図(耐力壁の位置が記載されているもの)

・立面図や断面図

・建築確認申請書

・矩計図

・内外部仕上げ表

・仕様書

・壁量計算書

・地盤調査書

・地盤改良施工報告書(過去に実施された場合のみ)

(2)手続きの流れ ホームインスペクションの手続きは、一般的に以下の流れで行われます。

ただし、業者によって流れは異なる場合もありますので、目安として参考にしてください。

①問い合わせと見積もり まず最初に、ホームインスペクションを依頼したい業者に問い合わせます。

この際に、診断内容の確認や料金の見積もりを行います。

②診断日時の決定と申し込み ホームインスペクションを行ってもらう日時を決め、申し込みを行います。

③必要書類の送付 業者から指定された書類を事前に送付します。

一部の業者は、依頼者が書類の準備をしておき、実際の診断日に書類を現地で確認する形式を取っている場合もあります。

④ホームインスペクションの実施 業者が依頼された住宅を診断します。

診断には、経験と専門知識が必要であり、依頼者に対しても詳細な報告やアドバイスを提供します。

ホームインスペクションの実施までの手続き

通常は、ホームインスペクションの実施を依頼した後、調査当日または後日に調査報告書を受け取ることになります。

もし疑問点がある場合は、業者に問い合わせる必要があります。

料金の支払いについて

ホームインスペクションの料金は、実施が完了した後に支払いを行います。

これによってホームインスペクションは終了します。

ホームインスペクションにかかる期間

ホームインスペクションにかかる期間

ホームインスペクションの費用が分かっても、実際にかかる時間が分からないと、計画を立てにくいかもしれません。

以下では、ホームインスペクションにかかる期間や時間について詳しくご紹介します。

(1)申請から実施までに約1週間程度かかる場合があります。

ホームインスペクションを申し込んだ後、すぐに業者が訪問してくれることはほとんどありません。

一般的には、申し込んでから実際の診断日まで約1週間程度かかります。

業者によっては、「ご都合のよろしい日を教えてください」というようなことを伺うこともありますが、一応の目安としては1週間程度を考えておくと良いでしょう。

(2)実施時間は大体2~3時間程度です。

業者が実際に現地に訪れて住宅を調査する時間は、一般的には2~3時間程度です。

もちろん、住宅の規模や調査項目によって異なる場合もありますが、一般的にはこのくらいの時間が必要です。

もし天井裏や床下の調査も希望する場合は、それに応じてさらに時間がかかることも考えられます。

診断が終わると、その場で診断結果が伝えられ、診断書類が作成されます。

一部の業者では、その場で診断書類を渡してくれることもありますが、多くの業者は診断書類を後日郵送してくれます。

後日郵送してくれる場合は、診断後の書類の到着までのスケジュールを教えてくれることがありますので、確認しておくことをおすすめします。

また、特に詳細な診断書類が必要な場合は、通常よりも長い時間がかかることもあります。

まとめ

ホームインスペクションは、既存住宅の劣化や不具合の状況を調査するものであり、耐震診断とは異なります。

依頼主が立ち会って診断結果を聞くことが一般的ですが、報告書の受け取りや料金の支払いなど、手続きには一定の時間がかかることを覚えておきましょう。

ホームインスペクションを考える際には、費用や時間、手続きについて理解しておく必要があります

ホームインスペクションの費用は、一般的には概ね5万円から7万円くらいが相場です。

この費用には、専門家による建物の点検や報告書の作成などが含まれています。

また、調査には2~3時間程度かかることが一般的です。

ホームインスペクションを希望する場合、申し込みから実際の調査までには、通常で言えば1週間程度の時間がかかることが多いです。

そのため、ホームインスペクションを希望するならば、可能な限り早めに申し込むようにしましょう。

さらに、中古住宅を購入する際には、契約不適合責任など、契約時に必要な確認事項がたくさんあります。

そのため、信頼できる不動産会社を選ぶことが重要です。

不動産会社を選ぶ際には、質問に対して真摯に対応できるかどうかだけでなく、これまでの仲介実績も注目しましょう。

なぜなら、仲介実績が多く経験豊富な不動産会社は、場合によっては中古マンションの値引き交渉なども積極的に行っていることが多く、選んだ不動産会社によって実際の購入価格が変わる可能性があるからです。

より良い条件で中古住宅を購入したいのであれば、不動産会社の仲介実績を比較して選ぶことをおすすめします。