実家を処分する時の注意点は?事前準備やどれくらいの費用が必要?

不動産

「実家を使わなくなり、処分することを決めました」というのは、一つの大きな決断です。

普通に生活している中ではあまり経験することのない出来事ですよね。

しかし、もし実家を処分することになった場合、さまざまな手続きが必要になります。

そのため、もしもの時のために手続きの内容を知っておくと、実家を処分する際に役に立つことでしょう。

この記事では、実家を処分する手続きや事前に準備しておくべきこと、さらには処分にかかる費用の相場などを詳しく解説しています。

実家を処分する際の知識や参考として、ぜひご覧ください。

実家を処分する事前準備

実家を処分するときの手順は、一般的な不動産の売却手続きとほぼ同じですが、実家を処分するためには、特別な準備が必要です。

ここでは、実家を処分する前に行うべき準備について詳しく説明します。

まず最初に、遺言書の有無を確認しましょう。

もしも遺言書がある場合は、その内容に従って処分手続きを進める必要があります。

次に、遺産分割手続きを行います。

遺族の中で意見が分かれる場合は、遺産分割協議を行いましょう。

遺産分割協議では、遺産の分割方法について話し合い、合意に達する必要があります。

遺産分割が終わったら、相続登記を行い、名義変更をする必要があります。

これによって、不動産の所有者が正確に記録されます。

遺品整理も重要な準備の一つです。

実家を処分する前に、家具や雑貨などの遺品を整理しましょう。

使わないものは処分し、大切なものは保管しておくことが大切です。

仏壇がある場合は、仏壇の引越しも考慮してください。

仏壇は、実家を処分する際に運搬や保管方法に気を配る必要があります。

また、土地の境界が明確であるかを確認しましょう。

隣地との境界線がはっきりしており、問題がないかを確認することは重要です。

さらに、税金対策になる書類があるかもしれませんので、それらを探しておきましょう。

税金対策になる書類を用意しておくことで、売却時の負担を軽減することができます。

以上が、実家を処分する前に行うべき準備の一部です。

実家を処分する際には、これらの手続きと準備を適切に行うことが重要です。

遺言書があるか確認する

もしも実家の所有者が亡くなった場合、まずは遺言書があるかどうか確認する必要があります。

遺言書は法定相続よりも優先されるため、もし遺言書が見つかった場合は、遺産分割手続きが簡略化されます。

遺言書にはいくつかの種類があります。

自筆証書遺言や秘密証書遺言が見つかった場合には、家庭裁判所で開封・検認してもらう必要があります。

この手続きにより、遺言書の内容が確認され、その意思が尊重されます。

一方、公正証書遺言を作成されている場合は、公証役場で公正証書遺言の有無を確認することができます。

公正証書は、公証人が立ち会い、遺言者の意思が明確に記された文書です。

このため、公正証書遺言があるかどうか確認するためには、公証役場での手続きが必要となります。

遺言書の有無や種類を確認することで、遺産分割手続きの進め方が変わります。

そのため、遺言書の確認は重要な手続きであり、遺産相続に関わる問題を円滑に解決するためには避けては通れません。

遺産分割手続きをする

もしも遺言書が見つかったのであれば、まずはその遺言書に書かれている通りに遺産分割手続きを進める必要があります。

遺産分割手続きとは、亡くなった方の財産や資産を相続人たちで公平に分ける作業のことを指します。

しかし、もしも遺言書が見つからなかった場合は、法定相続に基づいて遺産分割手続きを進める必要があります。

法定相続とは、法律で定められた相続人たちに対して遺産を分けるというシステムです。

ただし、遺言書の内容に納得できない場合や法定相続による遺産分割に不満がある場合は、遺産分割協議という手続きを行う必要があります。

遺産分割協議では、相続人たちが話し合って遺産の配分方法を決定します。

遺産分割協議が行われて、相続人たちが合意した場合には、遺産分割協議書を作成することになります。

この協議書には、遺産の配分に関する詳細な内容や合意事項が記載されます。

遺産分割協議書は、後々のトラブルを防ぐためにも重要な書類ですので、注意深く作成する必要があります。

相続登記し名義変更を行う

遺言書に従って進め、遺産分割協議が円満に終わったら、不動産の所有権の移転手続きである相続登記を行います。

相続登記を済ませることで、ついに実家の売却が可能になります。

相続登記が完了したら、不動産会社に査定を依頼しても良い状況となります。

不動産会社は、売却価格を査定してくれます。

遺品整理を行う

不動産の売却をする際には、一般的には不動産内の物品を全て撤去する必要があります。

したがって、部屋に残っている遺品を整理し、必要に応じて処分することが求められます。

遺品整理は、なるべく相続人全員で行うようにしましょう。

相続人代表者が勝手に遺品整理や処分を行ってしまうと、問題が生じる場合があります。

もし全員が一同に集まることができない場合は、代表者が自ら処分を行ってもよいということを全員の署名が必要な書類で確認しておくと良いでしょう。

土地境界の確認をする

実家の名義変更後に売却する際には、土地の境界線が確定していることを調査しておく必要があります。

土地の境界線が確定している場合、確定測量図と呼ばれる地図が存在します。

確定測量図があれば、土地の境界線は確定されています。

もし境界標がなくなってしまっていても、確定測量図があれば境界線を復元することができます。

ただし、確定測量図が存在しない場合は、実家を引き渡す前に土地の境界線を確定させる必要があります。

この場合は、土地家屋調査士に依頼して境界線の確定を行ってもらうことが必要です。

土地家屋調査士は、専門的な知識と技術を持っており、土地の境界線を正確に測量し、確定させることができます。

境界線の確定が必要な場合には、専門家の助けを借りることが大切です。

仏壇の引越しをする

仏壇の整理は相続人間の間でもしばしば争いの種となるため、遺族間のトラブルを避けるためには、仏壇の引越しを検討することが重要です。

仏壇を引越すためには、まず菩提寺に対して魂抜きと魂入れの法要を行ってもらう必要があります。

これは、仏壇に宿る故人の霊を鎮め、新しい場所への移動に備えるための儀式です。

また、もし古い仏壇を使用しない場合は、菩提寺にお焚き上げしてもらい、適切に処分されることになります。

これにより、仏壇の適切な扱いをすることができ、故人の供養も適切に行われることになります。

税金対策になる書類を探す

不動産を売却して譲渡所得が発生すると、譲渡所得税が課税されます。

この場合、税額を抑えるためには、実家を購入した際の購入代金や購入時に支払った費用、売却に必要な費用の領収証が重要です。

特に実家購入時の領収証は効果が大きいですが、領収証がなくてもある程度の税額軽減が可能です。

ただし、実家購入時の領収証がない場合は、以下の計算式を使って取得費を計算する必要があります。

取得費は売却金額の5%となります。

そして、この計算式で算出した取得費を譲渡所得から差し引くことで、税額を軽減できます。

実家を処分するときの注意点

実家を手放す際には、さまざまな注意点があります。

ここでは、それらの注意点を詳しく説明していきます。

まず、実家を共有名義で所有している場合、処分する際には共有者との協議や同意が必要です。

共有名義の実家を処分する際には、全ての共有者が合意した上で進める必要があります。

特に、共有者間での意見や関係が複雑な場合は、話し合いや手続きに時間がかかることもあります。

そのため、処分を検討する際には、共有者とのコミュニケーションをしっかりと取り、円満な解決を図ることが重要です。

また、実家を更地にする場合には、固定資産税が上昇する可能性があります。

実家を所有していると、土地と建物に固定資産税が課せられますが、建物を取り壊し更地にすると、土地の評価額が上がるため固定資産税も増えてしまいます。

この点には注意が必要であり、事前に評価額や固定資産税の変動を確認し、経済的な負担を把握しておくことが重要です。

さらに、実家を処分する際には空き家になるリスクもあることを知っておく必要があります。

例えば、手続きが遅れてしまったり、新しいオーナーが見つからなかったりすると、実家が空き家になる可能性があります。

空き家になると、管理や維持が難しくなり、様々なトラブルや犯罪のリスクも高まることがあります。

そのため、実家を処分する際には、適切なタイミングや方法を選ぶことが重要です。

以上が、実家を処分する際の注意点についての詳しい説明でした。

これらの注意点を守り、円滑な処分を進めていきましょう。

共有名義の実家を処分する

共有名義のまま相続した実家を売却する際には、共有者とのコミュニケーションを非常に重要視する必要があります。

実際に共有名義の不動産を売却するには、全ての共有者が売却に同意しなければなりません。

たとえ1人の共有者が売却に反対した場合、売却は不可能になってしまいます。

ですので、共有名義の実家を売却する際には、共有者の同意を事前に得ておくことが重要です。

もし共有者からどうしても売却への同意を得ることができない場合、自分自身の共有持分だけを売却する方法を選ぶことも可能です。

共有者の同意は必要ありませんので、自分自身が所有する共有持分の売却は可能です。

ただし、共有持分は一般の買い手が購入することができないため、不動産会社によって買い取ってもらう必要があります。

また、注意が必要な点として、共有持分は通常の市場価格で売却することができないことが挙げられます。

不動産会社による買取であるため、価格が高くはならない可能性があることに留意しておく必要があります。

更地にすると固定資産税が上がってしまう

実家を売却する際には、売却前に建物を解体してしまうと、土地の固定資産税が上昇する可能性がありますので、解体のタイミングには注意が必要です。

土地の固定資産税は、敷地上に住宅がある場合、特定の減税措置が適用されます。

具体的には、敷地面積が小規模な場合(200㎡以下)は、評価額の1/6が固定資産税として課税されます。

一方、一般的な住宅用地(敷地面積が200㎡を超える部分)の場合は、評価額の1/3が固定資産税となります。

つまり、固定資産税・都市計画税(土地・家屋)の税率表によると、土地に建物が存在するだけで最大で税額が1/6になります。

ですから、建物を解体すると、土地の固定資産税が最大で6倍にまで増える可能性があるのです。

したがって、実家を売却する際には、建物を解体する時期を慎重に考えて、最適なタイミングで売却することをお勧めします。

空き家にするリスクを知っておく

もしも実家を相続した場合、遺産整理をするかしないか、あるいはしばらくそのまま放置するかするかは人それぞれですが、空き家になったまま放置することにはリスクがあることを知っておくべきです。

まず、空き家になった建物は、動物が侵入する可能性があったり、熱気や湿気がこもることで建物の傷みが進行するスピードが上がります。

このような傷みが激しくなると、自治体から「特定空き家」という指定を受けることがあります。

特定空き家とは、近隣や通行に被害を与えるような危険な空き家のことです。

もしも特定空き家に指定されたまま危険な状態を放置していると、土地の固定資産税の軽減措置が解除されることや、最大で50万円以下の罰金を受けることもあります。

さらに、軽減措置解除や罰金を無視していると、行政代執行によって特定空き家が強制的に撤去され、その撤去費用を自治体から請求される可能性もあります。

まとめ

実家を処分する際には、さまざまな手続きが必要となります。

また、多くの費用がかかるため、費用の項目や金額を理解していることが重要です。

特に、実家が共有されている場合は、共有者との間で処分に関する知識を共有する必要があります。

そうしないと、処分そのものができなくなる場合が多々あります。

実家の処分には多くの関係者が関与することがありますので、関係者と的確に処分について話し合えるようにすることが重要です。

実家の処分に必要な知識を身につけ、処分を円滑に進めるために努めましょう。