マンションの構造にはRC造(鉄筋コンクリート造)とSRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)の2つがあります。
それぞれの特性により、価格や間取りに違いがあります。
適切な住まいを見つけるためには、基本的な仕組みを理解した上で判断することが重要です。
この記事では、マンション構造の違いや防音性への影響について詳しく解説します。
RC造とSRC造の違いと特徴
RC造は鉄筋コンクリート造のことを指し、SRC造は鉄骨鉄筋コンクリート造のことを指します。
どちらの工法も耐火性、耐久性、耐震性に優れた性能を持っています。
ただし、RC造は比較的自由な建て方ができますが、建物の重量が重くなりますので、地盤の弱い土地には適していません。
一方、SRC造はH型鋼などの鉄骨が使用されているため、RC造よりも強度が高く、柱を細くすることができますが、建築コストが高くなる傾向があります。
したがって、建物を建てる土地の状況や建物の大きさによって、どちらの工法が適しているかは異なりますので、設計事務所や施工会社によく相談しましょう。
RC造の建物の特徴
RC造の建物は、主に鉄筋とコンクリートで構成されています。
建物の骨格である柱や梁をつくる際に、型枠に鉄筋を配置し、そこにコンクリートを注入する方法です。
鉄筋は引張力に優れる性質があります。
引張力とは、部材を外側に伸ばす力のことであり、鉄筋を使用することで堅牢な建物を建てることができます。
一方で、鉄筋はさびやすく、高温に弱いという欠点があります。
このため、RC造では鉄筋の欠点を補うためにコンクリートが使用されています。
コンクリートは鉄筋とは逆の性質を持ち、耐火性が高いとされています。
このような工夫により、RC造の建物は頑丈で耐久性に優れています。
RC造の特徴と利点
RC造は、建物に耐久性や耐震性、耐火性があります。
また、コンクリートを使用することで断熱性や気密性にも優れています。
さらに、外壁がコンクリートとなることで外部の音をほとんど遮断し、静かで快適な空間をつくることができます。
さらに、RC造は柱や梁の形状や天井の高さなどを自由に設計することができるため、広々としたリビングや大きな開口部を実現できます。
これは木造の建物では難しいことです。
しかしながら、RC造の建築費用は木造や鉄骨造と比べて高くなりがちです。
それは、RC造の建築工程がより複雑になるためです。
また、RC造には鉄筋とコンクリートが使用されるため、建物の重量が増えます。
そのため、地盤の強化工事が必要な場合もあります。
SRC造の特徴と利点
SRC造は、RC造と鉄骨造を組み合わせた工法です。
鉄骨を使うことにより、建物にしなやかさをもたらすことができます。
SRC造では、鉄骨を配置した後に鉄筋を配置し、コンクリートを流し込むことで建物を完成させます。
柱の芯に鉄骨を使用することで、RC造よりもより頑丈な建物を作ることができます。
鉄骨の使用には、柱や梁を細くしながらも一定の強度を保つというメリットがあります。
その結果、広い空間を確保できます。
SRC造はまた、RC造よりもさらに防音性に優れています。
日本建築学会の公表データによれば、SRC造の遮音等級は「L-40」になります。
遮音等級が小さいほど防音性が優れていることを表します。
SRC造ならば、子育て世帯の多いマンションでも、生活音や子供の足音を気にすることなく暮らすことができます。
また、線路や商業地域の近くなどでなければ、屋外からの騒音もあまり気になりません。
ただし、SRC造はRC造よりもさらに複雑な施工方法を必要とするため、工期が長くなり、建築費用も増える傾向にあります。
防音性の向上には窓の防音性も重要です
建物の防音性には、構造以外の要素も重要な影響を与えます。
特に窓の防音性が低いと、建物の構造や壁の厚さに問題がなくても室内の音が外部に漏れることがあります。
窓は外部からの音が入ってくる箇所なので、立て付けなどに問題がないかをチェックする必要があります。
また、幹線道路や線路沿い、繁華街の近くなど、外部からの音が入りやすい場所では、SRC造であっても騒音対策として複層ガラスや二重サッシが採用されることもあります。
部屋の位置も騒音対策に影響します
騒音トラブルの原因となることが多いのが、部屋の位置です。
周囲の騒音に悩まされたくない場合は、片方に隣室がない角部屋を選ぶことをおすすめします。
また、階下に響く足音などが気になる場合は、1階を選ぶか、階下が共用部分などになっている場所を選ぶことも有効です。
ドアの防音性も重要です
玄関部分から生活音が漏れていないかを確認するには、ドアの周りに隙間がないかや、ドアそのものの遮音性が十分であるかを確認しましょう。
また、室内ドアの立て付けも注意が必要です。
これらの点をチェックすることで、部屋内外の音の漏れを最小限にすることができます。
周辺環境も防音性に影響します
外部からの騒音が気になる場所に住む場合は、窓サッシの防音性も重要です。
防音性の高いガラスを採用していても、窓サッシの気密性が高くなければ効果がありません。
窓サッシに関しても、ドアの場合と同様に隙間がないかを細かく確認しましょう。
建物の立地や周辺環境を考慮して、適切な防音対策を行うことが大切です。
理想的な居室の間取りについて
寝室と水回りの設備が隣り合っていると、使用中のキッチンや浴室から流れる水の音が聞こえ、眠りを妨げられることがあります。
この問題を解決するためには、居室と水回りの間に収納スペースなどを挟んだ間取りを選ぶことがおすすめです。
なぜなら、収納スペースの中にしまっている物が音を吸収してくれるので、水の音が奥まで伝わるのを軽減する効果があるからです。
居室を静かな空間にするためには、このような配慮が重要です。
まとめ
RC造とSRC造は、集合住宅(マンション)の建物構造を表す方法です。
RC造は自由な設計が可能であり、木造では難しい設計も行うことができますが、建築費用が高くなる特徴があります。
一方、SRC造はRC造よりもさらに頑丈な建物を作ることができますが、鉄骨を使用するために設計に制約が課せられるという特徴があります。
これらの違いを考慮すると、建物を設計する際にどの構造を選ぶべきかを検討することが重要です。
居住する環境を考慮する際のポイント
建物の構造は、居住する際の遮音性に影響を与える重要な要素ですが、他にもさまざまな要因が影響しています。
例えば、周囲の環境の騒音レベルや隣接する住戸との間の遮音性などです。
建物だけでなく、住む人自体も騒音に敏感である場合も考慮する必要があります。
居住する環境を考慮する際には、遮音等級などの指標を参考にして、自身の理想的な暮らしを実現するための条件を考えることも重要です。