農地法第5条第1項第6号による届出(農業委員会)って何をするの?

不動産

農地の売却や用途変更を検討する際には、まず地元の役所や法律の専門家に相談することをおすすめします。

一般的には、農地の売買や用途変更は可能ですが、地域によって異なる規制や手続きが存在する場合があります。

例えば、農地の一部を宅地に転用する場合は、市町村の都市計画や農地法の規定に基づいて事前に許可を取得する必要があります。

また、農地を売却する際も、売買契約や登記手続きなど法的な手続きが必要となります。

農地を相続した場合や農業を引退した場合は、土地利用計画や将来の資産活用などを考慮して、適切な方法を選択することが重要です。

農地転用には様々な手続や規制がありますが、自身の所有する農地に適した方法を専門家と相談しながら検討することが大切です。

農地転用とは?

「農地転用」とは、文字通り「農業用地を他の目的に転用すること」を指します。

たとえば、農家が畑を取り壊して住宅を建てる場合などがこれに当たります。

農地とは、一般的には「耕作に使用されている土地」を指します。

地籍簿の地目にかかわらず、見た目が畑や田んぼであれば、それは農地として扱われます。

荒木さんによると、「農地は食糧生産の重要な基盤であり、その保護のために農地法による制限が設けられています」。

この「農地」には、水田や野菜畑、牧草地などが含まれます。

日本では現在、農地法という法律が存在し、農地の転用を個人の意向だけで行うことはできません。

農地法による農地の売買や転用、貸し借りなどは、一般の住宅地とは異なり、農業委員会や都道府県知事の許可を受ける必要があります。

ですから、自ら所有する農地を転用する場合や、転用のために農地を購入する際には、それぞれの法律に準拠した手続きが必要になります。

農地転用の費用や手続き方法

ここでは、農地転用の費用や手続き方法について解説します。

農地転用は農地法第4条・第5条で規定

日本には、農地を別の用途に転用する際に必要な手続きが定められている法律があります。

その法律の中でも、特に重要なのが「農地法第4条」と「農地法第5条」です。

この法律を遵守しないと、農地の転用はできませんので、しっかりと把握しておくことが大切です。

「農地法第4条」と「農地法第5条」では、転用の申請手続きに関する詳細が規定されています。

申請書もこの2つの条文に基づいて作成されるため、どちらに該当するのかを正しく把握しておくことが重要です。

どちらの条文に基づいて申請すればよいかを事前に確認しておくことで、手続きのスムーズな進行が期待できます。

農地の転用は地域の農業や環境に大きな影響を及ぼすため、法律の定める手続きを遵守して適切に行うことが求められます。

このような手続きをしっかりと守ることで、より良い社会環境を築くために貢献することができますので、適切な理解と対応が必要です。

所有者自身が農地を転用するなら「農地法第4条」

農業用地を他の用途に変更することを農地転用といいます。

この際、農地法第4条に規定された手続きが必要です。

たとえば、農地を所有している人がその農地に住宅を建てる場合などが該当します。

もしも許可なしに工事を行った場合、行政から工事を停止するよう命令されたり、建設前の状態に戻すよう指示されることがあります。

売買・賃借を伴う農地転用の場合は「農地法第5条」

転用目的で農地を売買する場合、法律上の規定である「農地法第5条」が適用されます。

たとえば、不動産会社が農地を取得して、それを利用してマンションを建設する場合などが該当します。

しかし、工事を許可や届け出なしに行い、違反が発覚した場合、売買契約は法的に「無効」とされ、さらに建設工事の停止命令や、元の状態に戻すよう命じる指示が出される可能性があります。

手続きは都市計画区域で変わる

農地を別の目的に転用する際には、その手続き内容は、土地利用の規制を定めた都市計画法によって異なります。

まず、所有する農地が都市計画法に基づいて設定された「市街化区域」や「市街化調整区域」のいずれに位置するかを確認することが重要です。

市街化区域の農地を転用するなら「届出」

市街化区域とは、都市の発展を促進するために指定された地域であり、農地を都市部に転用する手続きが比較的容易な地域です。

農地を転用する際には、各市町村の農業委員会に「届出」を提出し、受理通知書を受け取れば手続きは完了です。

通常、この届出が受理されるまでの期間は短く、1週間から10日程度で通知を受け取ることが一般的です。

市街化調整区域の農地を転用するなら「許可」

都市計画の用語で言う「市街化調整区域」とは、都市の拡大を抑制するために設けられた地域のことです。

このような地域では、農地を他の目的に転用することが難しくなっています。

農地を転用するためには、まず農業委員会を通して申請を行い、そして都道府県知事からの「許可」を得る必要があります。

この申請プロセスには、約1か月半ほどの時間がかかります。

さらに、転用する農地が4ヘクタールを超える場合は、農林水産大臣との協議も必要となります。

ただし、市街化調整区域内でも、特定の条件が満たされる場合は、許可を取得せずに農地を転用することが認められています。

具体的には、国や都道府県、または指定された市町村が転用を行う場合や、土地が収用される場合、法律による農業中間管理事業の促進の対象となる場合などが該当します。

農地転用にかかる費用

届出や許可の手続きを進める際には、申請料は不要ですが、必要な書類を整えるために手数料が必要です。

必要書類が専門的であるため、多くの場合、行政書士に依頼することが一般的です。

報酬の金額は依頼先や手続きの種類によって異なりますが、届出の場合は約3万円から5万円、許可の場合は約7万円から15万円ほどかかることが一般的です。

行政書士への報酬以外にも、平面図や立面図、土地利用計画図などの書類を作成する際の費用がかかる場合があります。

また、農地転用に関連する費用は、通常、購入者が負担することが一般的です。

農地転用許可手続き

市街化調整区域内の農地を建設用地などの目的に転用する際の手続きは、各自治体によって異なりますので、これからご説明するのは一般的な手順となります。

農業委員会へ相談

まず、あなたが所有している農地を担当する地元の市区町村の農業委員会に行ってみてください。

農業委員会の窓口では、必要な手続きや提出しなければならない書類について詳しく相談することができます。

この際、不動産登記簿などの書類を持参すると、手続きがスムーズに進みます。

農地の住所や面積などのかんな情報が含まれている書類が特に重要ですので、忘れずに持っていきましょう。

必要書類を揃えて申請

自治体や農地の条件によって異なりますが、申請する際には以下のような書類が必要とされることが多いですね。

まず、「農地転用許可申請書」が必須です。

各地域で異なる書式に記入し、申請人の情報や農地の詳細などを記入します。

また、「土地の登記事項証明書」も必要です。

法務局で取得し、発行から3ヶ月以内のものを提出します。

さらに、対象農地の位置を示す地図や、建築予定の建物図面、資金を証明する書類が必要です。

資金計画書が求められることもあります。

申請状況によっては、追加で以下の書類が必要となることもあります。

たとえば、法人の場合には「定款・寄附行為の写し・法人の登記事項証明書」や、「事業計画書」が必要になることもあります。

また、土地改良区の場合は「土地改良区の意見書」が、水利権者の同意や土地所有者の同意書、地積測量図なども求められる場合があります。

その他、相続関係を証明する書面が必要な場合もあります。

必要な書類を揃えた後は、農業委員会に申請を行います。

審査期間は約1か月半ほどで、都道府県知事から許可が下りれば、工事を開始することができます。

地目変更登記

農地を宅地に変更する際、工事が完了して許可が得られたら、土地の登記情報を変更する手続きを行う必要があります。

これを地目変更登記といいます。

具体的には、不動産登記簿に記載されている地目を「宅地」など新しい地目に変更することになります。

地目変更登記を申請するには、土地が所在する法務局に直接申請する方法があります。

しかし、土地家屋調査士に代理申請を依頼することも可能です。

代理申請を依頼すると、土地家屋調査士が専門知識を活かして、スムーズに手続きを進めてくれます。

まとめ

手続きや許可の取得には多くの手間がかかりますが、適切なプロセスを踏まずに工事を進めてしまうと、契約が破棄される可能性があり、さらにはペナルティ金が科せられることがあります。

農地の売買や用途変更を行う際には、許可や届出が必要となり、農地を所有していない一般の方がその土地で家を建てることは困難です。

もし農地の相続や売買、用途変更を検討している場合は、まず地元の農業委員会にご相談いただくことをお勧めします。